「うちは仲がいいから大丈夫」。そう思った瞬間から、相続の地雷はカウントダウンを始めます。実家の名義、代償金の払込方法、配偶者や孫の“後出し要求”――準備ゼロなら、たった1通の内容証明で兄弟関係は一夜にして決裂しかねません。本記事では、仲良し家族ほど陥りやすい盲点と、愛情を“争続”に変えないための具体策を、最新法改正を踏まえて徹底解説します。
1 「うちに限って揉めない」は統計が否定する
家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件は令和4年だけで12,981件。遺産額5,000万円以下が7割を占め、「普通の家庭」で争いが顕在化していることがわかります。
さらに司法統計を年代別に追うと、申立て前の相続人アンケートで「兄弟仲は良好だった」と回答したケースが約6割。仲良しほど油断し、準備不足でトラブルに転落する――これが現場のリアルです。統計局
2 一夜で崩壊する3大トリガー
トリガー | 破綻メカニズム | 法律根拠 |
---|---|---|
① 実家の“とりあえず共有” | 維持費負担・売却方針で対立。10年経過すると共有物分割訴訟が解禁される改正民法で主導権争いが激化 | 改正民法258条②「10年ルール」 |
② 配偶者・孫の参戦 | 兄弟の暗黙合意が「公平論」で蒸発。遺留分侵害額請求で金銭請求が発生 | 民法1046条 |
③ 相続登記の放置 | 2024年4月から3年以内の登記義務化。過料10万円と“犯人捜し”で空気が険悪に | 不動産登記法改正(令和6年)法務局 |
3 関係が破綻した「仲良し兄弟」実録
Case|姫路市A家
- 父死亡、財産は実家(土地建物・評価3,600万円)+預貯金700万円
- 長男:同居。実家を相続し住み続けたい
- 次男:東京在住。代償金1,800万円を要求
発火点は「払えるとき払うわ」で流した長男の一言。6か月後、次男の妻を交えたビデオ会議で雰囲気が激変。弁護士が入り、競売→取り分▲200万円。“配偶者参戦+代償金資金計画ゼロ”という典型的パターンで、兄弟は今も年賀状すら交わしません。
4 改正法がトラブルを加速させる理由
- 10年ルールの心理
「待てば強制分割できるから今は譲歩しない」というチキンレースを誘発。 - 登記義務化
共有名義のまま放置していた実家にリミットが設定され、期限直前で「誰の名義にするか」争いに。
時間が味方だった時代は終わり、“決めずに先送り”が最大リスクに変わりました。
5 崩壊を防ぐ5ステップ・セルフチェック
- 財産リストの“色分け”
- 不動産=赤、現預金=青、保険=緑。色で換価性と分割難度を直感把握
- 代償金の“出口”を決める
- 生命保険、住宅ローン事前審査、リバースモーゲージ――資金源を3つ書き出す
- 公正証書遺言+付言事項
- 「長男の介護負担に配慮しつつ公平に」と感情まで明文化
- 家族会議を年1回・議事録PDF化
- MUFG相続研究所調査で「文書化世帯は紛争リスク3割減」相続会議
- 第三者ファシリテーター同席
- 行政書士・司法書士・信託銀行のいずれかを毎回立てる
6 行政書士ができる具体支援
フェーズ | 手続き | メリット |
---|---|---|
生前 | 遺言・家族信託設計/生命保険受取人設定の助言 | 共有リスクを先取り排除 |
相続開始後 | 相続人調査/評価証明取得/代償金シミュレーション | 感情論→数字論へ変換 |
共有解消 | 価格賠償・換価分割・共有物分割訴訟回避コンサル | 争続コストを最小化 |
専門家費用は“保険料”
兄弟仲が壊れれば失うのはお金だけでなく、家族の時間と信頼。数十万円の手数料で数千万円規模の損失と心労を防ぐ価値は十分あります。
7 まとめ──仲良しの今こそ“負のシナリオ”を潰せ
- 仲良し=準備しないがもっとも危険。
- 不動産共有・代償金・登記義務化が3大爆弾。
- 10年ルールと過料新設で「時間が解決」は神話に。
今日できる3アクション
- 家族LINEに「財産リスト作りたい」と送信
- 行政書士の無料相談を予約し、代償金の試算表を作成
- 年内に公正証書遺言を公証役場で作成
兄弟が笑い合える“その日”を守る鍵は、仲の良い今の行動です。姫路市近郊でお悩みの方は、初回60分無料でお手伝いします。お気軽にご相談ください。
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