高齢化と地域福祉が交差するいま終活の質が問われている
総務省統計によると高齢化率は29%を超え、姫路市でも三人に一人が65歳以上という時代に入りました。
介護や相続に備える「終活」は「もしも」への備えではなく、残りの人生を主体的にデザインする前向きなライフプランと言えます。
その中核的なパートナーになり得るのが社会福祉協議会(以下、社協)です。
社協は社会福祉法109条に基づき市町村単位で設置され、地域住民・ボランティア・行政機関と連携して福祉課題を解決する民間公益団体として位置づけられています。
本稿では行政書士の視点から、社協の機能を終活に組み込む手順と行政書士との連携ポイントをわかりやすく解説します。
社会福祉協議会の基礎知識
社協は保健師や社会福祉士、地域福祉コーディネーターが常駐し、高齢者をはじめ生活困窮者や障害者の相談に応じています。
生活支援では買い物の付き添いやごみ出しの代行、配食サービスなどを有償ボランティア事業として提供しており、料金や利用条件は自治体ごとの運営要綱に基づいて設定されています。
また高齢者虐待の通報窓口、災害ボランティアセンターの設置、見守りネットワークの構築など地域福祉のプラットフォームとして多面的に活動しています。
成年後見制度では、市民後見人養成講座を開き、判断能力が低下した高齢者の権利擁護を支援しています。
社協が法人後見人となるケースも多く、地域包括支援センターとも密接に連携しているため、生活支援と法的保護が一体となったサポートが可能です。
地域包括支援センターについては、別ブログ記事で取り上げていますので、参考にしてください。
終活場面で社協を活用する三つの視点
1 日常生活支援で在宅生活を延伸する
一人暮らしや高齢夫婦世帯の場合、買い物の代行や掃除、通院付き添いだけでも大きな負担です。
社協の生活支援サービスは準委任契約で提供され、利用料は数百円から千円前後が一般的です。
利用を開始する際は、社協窓口で生活状況とニーズを相談し、利用登録票を提出します。
行政書士が同席すれば、将来の任意後見契約や財産管理契約と整合した支援計画を立てやすくなります。
2 成年後見制度の入り口として機能させる
認知症が進行し判断能力が不安定になったとき、成年後見制度は強力な権利擁護手段です。
社協は後見制度利用支援事業を通じて、家庭裁判所への申立て費用(鑑定費や申立書作成費)の助成や、後見人候補の紹介を行っています。
行政書士は申立書と財産目録の作成、医師の診断書取得サポートを担い、社協は申立て後の後見人・見守りネットワークと連携する――この二段構えで手続きと生活支援の両輪が噛み合います。
3 終活講座・無料相談を情報収集の入り口にする
社協はエンディングノート講座や遺言・相続セミナーを定期開催しています。
講師として行政書士や弁護士が登壇するため、初歩的な疑問を無料で解消できる貴重な機会です。
講座参加をきっかけに遺言書を作成し、財産整理を進めた高齢者の例は少なくありません。
セミナー予定は各市町村社協の広報誌やウェブサイトで随時告知されています。
行政書士と社協を連携させる終活モデル
行政書士は法的書類を通じて意思と財産を可視化する専門家です。
社協は生活支援と地域見守りを提供します。
両者を連動させることで、たとえば「見守り契約+任意後見契約+遺言公正証書」という三層構えの終活スキームを構築できます。
財産管理は信託口座で透明化し、社協の生活支援事業から定期的に生活状況報告を受けて後見受任者がモニタリングする――といった仕組みを作れば、財産面と生活面の両方に抜け漏れがなくなります。
姫路市の連携事例
姫路市社協と行政書士が協働したケースでは、要支援認定を受けた男性がエンディングノート講座に参加後、公正証書遺言と任意後見契約を締結しました。
社協の有償家事援助を受けながら在宅生活を継続し、認知症発症後は任意後見がスムーズに発効。
死後は遺言書に従って市内の福祉基金へ一部遺贈され、相続人とのトラブルはゼロでした。
このように社協と行政書士の協働は、本人・家族・地域の三方良しの結果を生み出します。
まとめ 社協は終活を地域で支える心強い仲間
社会福祉協議会は生活支援、権利擁護、地域見守りを担う“地域福祉の要”です。
行政書士は遺言書や後見契約で法的基盤を整えます。
二者を連携させれば、生活面と法律面が補完し合い、安心して老後を送るための伴走体制が完成します。
終活の第一歩として、ぜひ最寄りの社協窓口に足を運び、行政書士にも同時に相談してみてください。
情報と支援のハブを持つことが、豊かなセカンドライフへの近道になります。
姫路市の相談窓口
姫路市社会福祉協議会(本部・各支部)は、生活支援サービス利用登録や終活講座の申し込みを受け付けています。
当行政書士事務所では遺言作成・成年後見・家族信託・死後事務委任契約を中心に終活支援を行い、社協との連携体制を確立しています。
初回相談は無料ですので、下の問い合わせページからお気軽にお問い合わせください。
※本記事は一般的な法情報の提供を目的としており、個別の手続きは行政書士や社協担当者など専門職へ直接ご相談ください。
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