導入──サブスクリプション契約の普及と相続問題の増加背景
スマートフォンひとつで映画や音楽、クラウド保存まで利用する時代になりました。
サブスクリプション契約とは月額課金型のサービスで、例えば映画が見放題になるアマゾンプライムビデオや、クラウドサービスのGoogleドライブなどがあり、生活に欠かせない仕組みとして定着しています。
便利さの裏でオンライン契約が散在しているため、相続の場面では見落とされやすい現実があります。
姫路市の行政書士事務所にも「親の死後に課金が続いていた」「契約情報が分からず解約できない」といった相談が年々増えています。
本稿では、サブスクリプション契約が相続に与える影響と備え方を実務経験に基づき解説します。
サブスクリプション契約は相続対象になるのか
サブスクの法的な位置づけと財産性
サブスクリプション契約は継続的サービスの利用権で、利用規約では契約者が死亡すると契約が消滅するケースが多数です。
そのため利用権自体は相続財産に該当しない場合が多い一方、前払い済みの残高(例えば使用料一年分前払いなど)や未経過期間があるときは未消化の債権として金銭的価値が認められ相続税の申告対象になる可能性があります。
国税庁は未使用の前払金を相続財産に含める方針を示しており、残高確認が欠かせません。
サービスごとの対応の違い
NetflixやSpotifyは死亡時点で契約終了とし残期間の返金に応じない規約です。
DropboxやiCloudなどのクラウドサービスは死亡届と戸籍書類の提出で契約停止やデータ取得に対応します。
Adobe Creative Cloudのように名義変更や法人切替を認めるサービスもあります。
事業者ごとに扱いが異なるため、生前の利用規約確認が重要です。
行政書士が見たサブスクリプション相続の実例とトラブル
クレジットカード自動課金が続いた事例
姫路市の家庭で、亡父のクレジットカードに紐づいた複数の有料サービスが死亡後も課金され続けました。
相続人が気づいたころには合計五万円超が引き落とされ、カード会社は死亡を理由に遡及返金に応じませんでした。
クレジットカードの早期停止とサブスク解約が被害防止の鍵になります。
ロック解除できず情報にたどり着けなかった事例
別のケースでは故人のスマートフォンが生体認証でロックされ契約内容を確認できませんでした。
結果としてクラウドストレージに残る家族写真へアクセスできず、データ消失リスクが残りました。
生前に情報アクセス方法を伝えておく重要性が浮き彫りになりました。
サブスクリプション相続で注意すべき三つのポイント
契約状況の把握とアクセス情報の管理
契約サービス名、ID、パスワード、登録メールアドレス、決済方法を一覧化し、エンディングノートやパスワード管理アプリに保存します。家族が閲覧できる手段を確保することが最優先です。
不要契約の解約手順と死亡時の通知方法
死亡後はサービスサポートへ死亡届写しと戸籍謄本を提出し、契約終了手続きを進めます。
事前に公式サイトで「死亡時のアカウント処理」を確認し、必要書類をメモしておくと遺族の負担が大幅に減ります。
費用負担と遺産分割協議
未消化課金や返金額が判明したら、ほかの遺産と合わせて遺産分割協議書に記載します。
小額であっても手続きを正式に行うことで誤解や不信感を防げます。
事前にできるサブスクリプション相続対策
契約一覧とエンディングノートの定期更新
毎月のクレジットカード明細を確認しながら契約一覧を更新し、エンディングノートに貼付します。
不要契約はその都度解約しておくことが混乱を防ぐ最短ルートです。
そもそも不要な契約を解除しておくなら、出費も減らすことができ、後々の対応も簡易化することができます。
家族への情報共有
「このノートに契約情報がある」「クラウドフォルダを見て」と家族に伝えておくだけでも遺族の負担が大きく減ります。デジタル遺産は可視化がすべてです。
行政書士との事前相談
行政書士は遺言書や財産目録の作成支援、サブスク契約整理のアドバイスを行います。
事前に相談しておけば相続開始後の手続きと必要書類が一目で分かり、トラブルの芽を摘むことができます。
まとめ──サブスクリプションも相続時代の重要テーマ
サブスクリプション契約を放置すると自動課金や情報漏えいのリスクが高まります。
相続の観点では契約情報の見える化、遺言書での具体的指示、遺産分割協議書での正式な取り扱いが三本柱です。
家族への思いやりとして、早めに情報整理と専門家との連携を進めてください。
行政書士に相談する理由とお問い合わせ情報
姫路市で活躍する当行政書士ではサブスクリプション解約支援から相続書類の整備、エンディングノート作成まで幅広くサポートします。
下の問い合わせページから初回相談無料ができますので、契約整理に不安があれば気軽にご相談ください。備えの早さが安心の厚さにつながります。
令和七年六月十日現在の法令と公表資料を参照して執筆しています。具体的な税務判断や規約の詳細は個別事情で異なりますので、最終的には専門家へ確認してください。
コメント