行政書士監修|“使って減らす”相続税対策完全ガイド

“使って減らす”相続税対策完全ガイド 不動産

導入部分:相続税対策は「上手に使うこと」から始まる

相続税対策というと贈与や遺言書の整備が思い浮かびますが、生前に計画的にお金を使う行為そのものが有効な節税策になります。
被相続人の死亡時点で残った財産だけが課税対象となるため、生活を豊かにする支出や家族への支援、社会貢献に資産を循環させるほど結果として相続税は軽減します。
理論的には相続人の人数に応じた免税点以下の財産しか持っていなければ、無税で財産を渡せるので、その一定額まで財産を使い切るという視点です。
最近は「Die With ZERO(ゼロで死ね!)」というセンセーショナルな題名の本もベストセラーになりましたね。このような視点も取り入れる相続対策も考慮に値すると思います。
本記事では行政書士の視点から、生前支出を活用した最新の相続税対策と注意点を解説します。

なぜ「使うこと」が相続税対策になるのか

相続税の課税メカニズム

相続税は相続開始時に存在する純資産に課税されます。
国税庁の資料によれば死亡前に消費された現金は課税対象外となり、課税価格の合計が基礎控除額を下回れば納税義務は生じません。
資産を合理的に使うほど課税価格が圧縮される仕組みです。

無理のない資産減少が重要になる理由

浪費は生活を不安定にするだけでなく贈与税リスクを伴います。
老後資金や医療介護費を十分に確保したうえで余裕資金を自分の満足、家族の幸福、社会貢献に振り向けるバランスが健全な相続税対策の基盤です。
とても多いケースとしては、亡くなる時が人生で一番お金持ちだったというパターンです。
若いころは爪に火を点す生活をして切り詰め、老後のためと資金をためていたが、いざ使おうという段階になると健康、体力、気力が亡くなり、使わないまま多額の税金を持っていかれるという例は枚挙にいとまがありません。
それもその人の人生観かもしれませんが、使うべき時に使うべきお金を消費して、豊かな人生を歩むのが本道と感じる方も多いのではないでしょうか。

生前にお金を使う具体的な方法

家族旅行や記念イベントへの投資

家族旅行費用は生活に必要な範囲なら贈与税の課税対象になりません。
思い出作りと資産圧縮を同時にかなえる実践的な方法です。
あの世にお金は持っていけないと言われます。最後に残るのは楽しい思い出ではないでしょうか。
生前葬という形で、家族、友人を招いて盛大な催しをされる方もいらっしゃいます。

教育資金・住宅資金・結婚子育て資金の非課税特例

租税特別措置法の非課税贈与制度を活用すると、教育資金は最大一千万円、住宅取得資金は最大一千万円、省エネ住宅の場合は一千五百万円、結婚子育て資金は最大一千万円まで贈与税がかかりません。
令和七年十二月三十一日までの時限制度であり年齢要件と使途報告義務を守ることで安全に資産移転が可能です。
若い時のほうが、お金から価値を引き出す力は強いですが、若い時にはお金がないというギャップを埋める手助けをするなら、大いに感謝されるでしょう。

終活関連費用を前払いするメリット

墓地購入費、公正証書遺言の作成費用、葬儀会館との生前契約は生前支出として資産を減少させます。
相続税の葬式費用控除は死亡後に支払った費用だけが対象である点を理解して計画的に支払うことが重要です。

所有不動産への価値増大につながる支出

ご自宅をお持ちで、引き続き相続人が居住される予定があるならば、大規模改修を行ってお金を減らしながら資産価値を減らすことができます。
屋根、外壁、給湯設備、場合によっては太陽光発電、蓄電池システム、電気自動車給電設備、防犯システムなど最新鋭の設備を導入することにより、快適な自宅を次世代に引き継げます。
全額課税所得から除くことができるわけではなく、残存価格を相続税申告書に記載する必要があるほか、固定資産税も上昇する可能性がありますが、それらを差し引いても余りある相続税圧縮効果が期待できます。
アパート、マンションを経営しているなら、同じく大規模修繕工事、オートロックや宅配ボックス設置など、将来の入居率、家賃向上のための支出を計画することも大変おすすめです。筆者は行政書士事務所代表の傍ら、不動産管理会社の経営もしており、この分野は豊富な経験をもっていますので、お気軽にご相談ください。

あまり知られていないのは、所有土地の境界確定をしておくということです。
境界確定をするためには、土地家屋調査士に1筆あたり数十万の手数料を払う必要がありますが、将来の隣人との境界トラブルを避けることができるだけでなく、土地の流動性を上げることができます。
隣地同士で相続が進み、相続人同士が疎遠である状態で境界確定をしようとすると、難航する場合もあります。
昔は口約束、いわゆる「なぁなぁ」で、大体この辺りまではうちの敷地ね、というような認識が大変多いので、昔の事情を知っている人たちが存命のうちに、境界確定をしておくと安心をつなぐことができるでしょう。

公益法人やNPOへの寄附で社会貢献

相続開始前三年以内の寄附でも公益法人等への寄附は非課税とされます。
生前寄附は本人の意思を示しながら資産を減らす有効な手段です。
自分の孫たちの世代に明るい社会を作ってくれそうだと期待できる団体に寄付する、というのも有効な使用方法でしょう。

使いすぎを防ぐ支出計画の立て方

老後必要資金の算定と高額療養費制度の活用

夫婦高齢世帯の最低生活費は月約二十三万円という調査があります。
高額療養費制度や介護保険自己負担上限を踏まえて医療介護費を試算し、必要資金を確保したうえで支出可能額を設定します。

行政書士とファイナンシャルプランナーによる試算

行政書士が財産目録を作成しファイナンシャルプランナーがライフプランを作ることで、現金残高がいつどの程度減るか数値化でき、過不足のない支出計画が立ちます。筆者は行政書士であると同時にファイナンシャルプランナー2級の資格も併せ持っていますので、トータルコーディネートすることができます。

行政書士が提供する生前支出サポート

遺言書と贈与契約のリーガルチェック

公正証書遺言を作成すれば検認手続きが不要になり銀行手続きが迅速化します。
贈与契約書を適切に整備し、必要に応じ贈与税申告を行うことで税務調査リスクを低減できます。

任意後見契約・家族信託で資産管理を安心化

判断能力低下後も計画的支出を継続するには任意後見契約や家族信託が有効です。
行政書士は契約書作成と公証手続き、信託口座開設の助言を行います。

実践事例で学ぶ“使って減らす”成功パターン

家族旅行を通じて円満相続につなげた事例

姫路市在住の70代男性が、たくさんお金を残しても意味がないと思い、家族3世代、計11人でビジネスクラスのハワイ旅行を計画しました。
500万円以上の支出となりましたが、かけがえのない思い出を作り、お孫さんからも尊敬のまなざしを受けることができました。
亡くなった時点で課税財産が基礎控除内に収まり納税ゼロとなり、家族の絆も深まり遺産分割は即日合意に至りました。
まだ気力体力が充実した内に、お金から価値を引き出した好例と言えるでしょう。

まとめと結論 計画的に“使う”ことは立派な相続税対策

相続税を抑える王道は課税財産を意図的に減らすことです。
老後資金を確保したうえで教育や旅行、将来の資産や快適性を産むための支出、寄附に資産を循環させれば本人の満足と家族の安心を同時に得られます。
制度要件を誤ると贈与税課税や税務否認のリスクがあるため、行政書士と相談しながら支出計画を立案しましょう。ファイナンシャルプランナーとも協力し、生前支出シミュレーション、資金計画を立てることも重要です。

行政書士への相談案内(姫路市対応)

当行政書士事務所では、不動産管理会社経営者、ファイナンシャルプランナーとしての知見も活用した、生前支出を軸とした相続税対策をサポートしています。
財産目録の作成、贈与税シミュレーション、遺言書・任意後見・家族信託のご提案までワンストップで対応します。まずは下の問い合わせページから無料相談で現状をお聞かせください。


※本記事は一般的な税務・法務情報の提供を目的としており、個別の判断には行政書士や税理士など専門家へご相談ください。

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