なぜ今「終活」が注目されているのか
少子高齢化や核家族化の進行により、相続トラブルや介護負担が顕在化しています。
「自分の死後に家族へ迷惑をかけたくない」と考える人が増え、終活という言葉が一般化しました。
姫路市でも高齢化率が三〇%を超え、行政書士への終活相談は二〇二〇年度比で約二五%増加しています。
終活は人生の最終章を見据えた準備活動であり、家族とのコミュニケーションを深める機会でもあります。
終活の基本と目的
終活では財産整理、医療・介護の希望整理、葬儀や墓の希望の明記、そして家族へのメッセージ作成という四つの柱を意識します。
財産整理では預貯金や不動産だけでなく、サブスクリプション契約や電子マネー残高などデジタル遺産も対象になります。
医療・介護の希望は延命治療の有無や施設選定を含み、尊厳死宣言で意思を補強できます【厚生労働省|終末期医療ガイドライン】。 胃ろうをして、家族に経済的、精神的負担をかけたくないという思いをあらかじめ家族に伝えておくとよいでしょう。
葬儀や墓について事前に希望を示すと遺族の負担を軽減できます。生前の墓じまいも一般的になりつつあるようです。
最後に、家族への感謝や人生観を残すことで心の整理が進み、遺された人に安心感を与えます。
行政書士が見る終活の現場
現場では「遺言書がなく相続人同士で揉めた」「介護方針で兄妹が対立した」といった相談が頻発します。
行政書士は依頼者の意思を法的書類に落とし込み、家族間の調和を支えます。
自筆証書遺言は法務局で保管すれば検認が不要になり、安全性が高まります【法務省|自筆証書遺言書保管制度】。
他にできることは、任意後見契約を結んでおくことです。任意後見契約は、まだ自己決定能力があるうちに、将来判断能力が鈍ってきたときに、自分の希望を代理して行ってくれる後見人を自分で指定しておく制度です。発効には家庭裁判所で任意後見監督人が選任される必要がありますので、早めに行政書士に相談しておくことが重要です。
家族に感謝される終活【ステップ別ガイド】
ステップ一 エンディングノートを作成する
エンディングノートは法的効力を持ちませんが、自分史、医療・介護の希望、葬儀の形式、デジタル遺品一覧などを自由に記載できる便利なツールです。
姫路市内の図書館や地域包括支援センターでは書式例を配布しており、月に一度の見直しを勧めています。
ステップ二 財産と契約内容を棚卸しする
預貯金、不動産、生命保険、株式に加え、NetflixやAmazonプライムなどのサブスクリプション、電子マネー、仮想通貨残高も一覧化します。
デジタル資産の未使用残高は相続税の対象になる場合があるため、財産目録に反映しておくと安心です。
ステップ三 遺言と後見制度を整える
財産が一定以上ある場合や特定の相続人へ配慮したい場合は公正証書遺言を選択します。
判断能力低下に備えて任意後見契約を締結し、信頼できる受任者を指定しておくと安心です。
ステップ四 家族と情報を共有する
作成したエンディングノートや遺言書の所在、行政書士・司法書士・税理士など専門家の連絡先を家族へ伝えます。日頃から会話の中で終活の進捗を共有すると、相続開始後の混乱を防げます。
姫路市で利用できる終活支援
姫路市役所は高齢者相談窓口でエンディングノート講座を開催し、地域包括支援センターでは医療・介護の総合相談を受け付けています。地元行政書士会は出張相談会を実施し、高齢者が自宅で遺言や後見契約のアドバイスを受けられる体制を整えています。
まとめ──終活は生き方の再確認
終活は単なる死の準備ではなく、自分らしく生き切るための作業です。
人生を振り返り未来への希望を形にする過程で、家族への感謝が言葉となり、相続の安心が確保されます。
準備の第一歩は情報を整理し、専門家に相談する勇気です。
行政書士に相談するメリット(姫路市エリア)
姫路市で活躍する当行政書士事務所では遺言書や任意後見契約の作成、財産目録の整備、相続登記手続きまで一貫してサポートします。下の問い合わせページからお気軽にご相談ください。家族が安心できる終活を始めてみませんか。
令和七年六月十日時点の法令・公的ガイドラインを参照して執筆しました。個別事情によって最適な手続きは異なりますので、具体的なご相談は必ず専門家へお寄せください。
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