行政書士が解説|介護老人保健施設入所と相続手続きを同時に乗り切る方法

介護老人保健施設入所と 相続手続きを同時に 乗り切る方法 終活

老健入所と相続が重なりやすい理由

介護保険法8条の25が定める介護老人保健施設(以下「老健」)は、病院と自宅の中間に位置づけられるリハビリ中心の中期入所施設です。
厚生労働省の統計によれば平均在所期間はおよそ4か月ですが、医学的管理が長期化すると在所中に相続が発生するケースが珍しくありません。
要介護1以上の高齢者が入所し、医師・看護師・リハビリスタッフの支援を受けつつ在宅復帰を目指す一方、自宅は空き家化し、預貯金は介護費で減り続ける――まさに老健 相続が同時進行する現実が広がっています。

老健入所前に必ず行う三つの相続対策

1 財産目録の作成と家族共有

入所前に預金通帳、不動産登記簿謄本、保険証券、年金通知書を集めてリスト化し、保管場所を家族と共有します。
財産の全体像がわかるだけでなく、死亡後の高額介護サービス費還付金や生命保険金を漏れなく請求できます。

2 公正証書遺言で意思を可視化

老健では体調変動が大きく、判断能力が低下すると自筆証書遺言が無効になりかねません。
公証人が出張する「施設遺言」に対応した公正証書遺言にしておけば、相続人は検認手続きを省略でき、手続きが数週間早まります。行政書士は文案作成と証人手配を代行します。

3 成年後見・家族信託の検討

認知症で判断能力を失った場合、成年後見人が金融機関窓口で口座管理や老健費用の支払いを行います。
より柔軟に不動産売却や資産運用を続けたい家庭は、家族信託で子を受託者に指名し「信託口座」から費用を支払う仕組みが有効です。

老健入所契約と費用のポイント

入所期間と費用体系

原則3〜6か月を目安とする在所期間ですが、状態悪化などで延長は可能です。
費用は①介護サービス費(介護保険9割負担、自己負担1割〜3割)②食費③居住費④日用品費で構成され、月額目安は8万〜15万円ほど。
住民税非課税世帯は市町村の負担限度額認定証を取得すれば食費・居住費が軽減されます。

入所契約と預り金・保証人

厚労省モデル入所契約書には預り金条項があり、施設が金銭を管理する場合は分別口座と月次残高報告義務があります。
身元保証人は利用料・医療費・遺体搬送費などを連帯保証するため、範囲を必ず確認してください。

住所地特例は適用外

特別養護老人ホームと違い、老健は住所地特例の対象外です。
市外施設に入所すると介護保険料区分が転出先自治体で再計算され、負担が増えるケースがあるため注意が必要です。
特別養護老人ホームとの違いは、別ブログ記事で解説していますので参考にしてください。

死亡後に必要な老健関連手続き

  1. 施設へ死亡連絡を入れ、退所日・遺品整理日程を調整
  2. 利用料・医療費・日用品費を日割り精算し、預り金を30日以内に返還してもらう
  3. 高額介護サービス費の還付手続きを行い、還付金を相続財産に計上
  4. 通帳の入出金を確認し、財産目録を更新
  5. 遺産分割協議で老健費用立替分を債権計上し、協議書に反映

行政書士は取引履歴の整理、預り金精算書のチェック、高額介護サービス費還付の代理申請書作成を支援します。

相続発生後の合意形成を円滑にするコツ

  • 介護に関わった相続人の負担額を領収書で可視化し、相続分と相殺する
  • 遺言書がない場合は、被相続人の介護履歴を年表にまとめ、寄与分を話し合う
  • 行政書士を第三者ファシリテーターに立て、感情的対立を回避する

まとめ―老健入所は相続準備を始める絶好の機会

老健は在宅復帰を目指す施設ですが、入所中に相続が起きても慌てない準備が必要です。

  • 入所前に財産目録と公正証書遺言を作成
  • 成年後見や家族信託で口座を安全運用
  • 死亡後は利用料精算・預り金返還・高額介護サービス費還付を漏れなく実行

行政書士と早めに連携し、介護と相続を同時に乗り切る体制を整えておきましょう。

行政書士への相談窓口(姫路市対応)

当事務所は老健入所者と家族を対象に、財産調査・遺言書作成・成年後見申立て・家族信託契約書作成・遺産分割協議書作成まで一括支援します。初回相談は無料です。老健と相続でお困りの方は下の問い合わせページからお気軽にご連絡ください。


※本記事は一般的な法情報の提供を目的としています。個別案件は行政書士または専門家へ直接ご相談ください。

 

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