行政書士が解説|リバースモーゲージの仕組みと相続への影響

リバースモーゲージの 仕組みと相続への影響 不動産

注目されるリバースモーゲージの背景

高齢化と年金水準の伸び悩みが重なる日本では、老後の資金計画が世帯の最重要課題になっています。
この流れの中でリバースモーゲージが脚光を浴びています。
自宅を担保に生活費や医療・介護費を受け取りつつ、亡くなるまで住み続けられるという特徴が高い関心を集めています。
しかし仕組みや契約条件を誤解したまま利用すると、相続時に想定外の負担が生じる可能性があります。
本稿では兵庫県姫路市で相続実務に携わる行政書士の視点から、リバースモーゲージの最新動向と相続リスクを分かりやすく解説します。

リバースモーゲージとは何か―制度の概要と仕組み

基本構造と利用条件

リバースモーゲージは、自宅を第一順位抵当権で担保提供しながら定期的に融資を受ける制度です。
返済は契約者死亡後に担保不動産を売却して一括精算する仕組みで、生前は利息のみ、あるいは全く返済義務が生じない商品もあります。
利用には原則六十歳以上の年齢要件と、一定以上の不動産評価額が必要です。

公的制度と民間商品の違い

公的制度の代表例が社会福祉協議会の「不動産担保型生活資金」で、生活福祉資金貸付制度(社会福祉法百九条)に基づき月額五十万円・年利一パーセント上限で貸し付けが行われます。
貸付対象は低所得高齢者世帯に限定され、所得制限が設けられています。
民間では住宅金融支援機構の「リ・バース60」が代表格で、二〇二四年十二月には全期間固定金利型が追加されました。
固定型は金利変動リスクを抑えつつ、配偶者が契約者でなくても最長三年間居住を継続できる留保措置が導入されています。

リバースモーゲージのメリットとデメリット

老後資金の確保と生活の安定

自宅に住みながらまとまった資金を得ることで、年金不足を補い住宅の修繕や介護費に充当できます。利息のみ支払い型を選べば月々の負担が小さく、家計にゆとりが生まれます。
お子様がすでに自宅を所有しており、実家の相続を望まない場合は有力な選択肢になりえます。

相続や将来への影響

契約者が死亡すると担保不動産は売却または残債返済の対象となり、原則として相続人は自宅を引き継げません。
リバースモーゲージ契約者の死亡後、金融機関は残債の一括返済を請求しますが、相続人が資金を用意すれば担保不動産を残すことはできます。

相続人が返済できなければ任意売却か競売になり、家は手放すのが一般的です。

親の家を残したいなら、生命保険・遺言・配偶者居住権特約などで資金確保や権利保護の仕組みを事前に設計しておくことが不可欠でしょう。

金利上昇・評価額下落・長寿リスク

多くの民間商品は変動金利で、上昇局面では借入限度額が縮小します。
不動産価格が大幅に下落すれば追加担保を求められる場合もあります。
国民生活センターは「長生きリスク」「金利上昇リスク」「不動産価格下落リスク」の三点を主要リスクとして挙げ、契約前に充分な確認を促しています。

契約時に注意すべきポイント

契約条件と契約書の読み込み

契約期間、金利タイプ、借入限度額、死亡後の処理方法、配偶者居住継続特約の有無を精査することが安全利用の前提です。
行政書士は重要条項の読解を支援し、公正証書化など証拠性の高い形で家族合意を残すお手伝いをしています。

同居家族への影響

契約者以外が同居している場合、死亡後に居住継続できるかどうかは契約に明記された居住権保護条項の有無で決まります。
配偶者が連帯債務者でないケースでは特に注意が必要です。

家族との事前対話

リバースモーゲージ利用により相続財産が減少または消滅する可能性を正直に共有し、資金用途や残債シミュレーションを家族会議で確認する習慣がトラブル防止に直結します。

自宅を活用して資金を得る方法として、「リースバック」という方法もあります。
他のブログ記事をご確認ください。

相続への影響と行政書士のサポート

遺産分割と不公平感の緩和策

自宅が遺産の中心である家庭では、リバースモーゲージ利用によって分割対象が現金化されないまま減少するため、不公平感が生じやすくなります。
遺言書で特定の相続人に代償金を充当するか、生命保険を併用して均衡を図るといった対策が有効です。

債務超過時の救済手段

残債が売却額を上回った場合、相続人は民法九百十五条の熟慮期間(三カ月)内に相続放棄や限定承認を検討できます。
熟慮期間を過ぎても管理者選任申立(家事事件手続法二百条)で遺産整理を図る道があります。

行政書士が提供できる支援

行政書士は金融機関が交付する契約書・重要事項説明書のチェック、家族間合意の文書化、公正証書遺言の作成支援を通じて法的リスクを最小化します。
金融商品の勧誘や運用助言には踏み込まず、書面整備と合意形成に専念する立場を明確にすることで、安心してご相談いただけます。

実際の相談事例―姫路市でのケース

単身高齢者の資金確保に成功した事例

姫路市内で一人暮らしの女性が生活費不足を補うためにリ・バース60を検討しました。
行政書士が契約内容を確認し、配偶者居住権条項が不要である点や固定金利型の安心感を説明しました。
家族にもオンラインで契約書を共有し、運用は三年目を迎えていますがトラブルは発生していません。

契約後に家族間トラブルが生じた事例

別の家庭では契約後に相続人から「自宅を残せないのは不公平だ」という不満が出ました。
行政書士が遺言書に代償分割条項を追加し、遺産分割協議書を公正証書化することで円満解決しました。書面による可視化が合意形成の鍵になりました。

まとめ―制度理解と専門家活用が安心を生む

リバースモーゲージは「自宅は住みながら使う資産」という考え方を現実化する仕組みです。
ただし金利、長寿、不動産価格の三大リスクと相続への影響を見落とすと、家族の負担に転化します。契約前に家族会議を開き、行政書士や弁護士、税理士のサポートを受けることで、後悔しない選択が可能になります。

行政書士への相談窓口(姫路市対応)

当事務所ではリバースモーゲージの適合診断、契約書レビュー、家族合意形成支援、遺言書作成までワンストップで対応しております。初回相談は無料です。電話・LINE・オンライン面談に対応しておりますので、下の問い合わせページからお気軽にお問い合わせください。


※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事案については必ず専門家へご相談ください。

 

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