ペットの医療費も遺せる負担付遺贈|飼い主の想いを守る行政書士ガイド

ペットの医療費も 遺せる負担付遺贈 相続全般

※この記事は一般情報のご提供です。ご事情に応じた判断は必ず専門家へご相談くださいね。

「この子が最期まで幸せに暮らせるようにしてあげたい」
そんな想いを抱えながら、自分の死後にペットを託す方法を探している方は少なくありません。

特に、高齢の飼い主の間では「自分より長く生きるかもしれない」犬や猫の将来を心配する声が年々増えています。

私は兵庫県姫路市で行政書士として活動しており、近年ご相談が増えているのが「負担付遺贈(ふたんつきいぞう)」を使ったペットの相続対策です。

今回は、ペットを大切に想う飼い主が遺せる“やさしさのかたち”としての負担付遺贈について、その仕組みや注意点を解説します。

負担付遺贈でペットを守る仕組みを理解する

「負担付遺贈(ふたんつきいぞう)」は、遺言で財産を譲る代わりに受遺者へ義務を課す方法です。

民法1002条は 「受遺者は遺贈の目的価額を超えない範囲で義務を負う」と定め、約束が守られなければ遺贈を取り消せる余地も残します。

たとえば「愛犬の世話を条件に現金300万円を渡す」という内容なら、受遺者が世話を怠れば他の相続人や遺言執行者が取消しを求められる仕組みです。


医療費まで見据えて金額を決める

犬の生涯飼育費は平均で約500万円、猫でも250万円前後と推計されます。フジフィールド株式会社
高齢期は通院や介護用品の出費が増えます。

負担付遺贈ではこの費用をまるごと遺せますが、一括で渡すと途中で資金が尽きるおそれもあるので、年2回や四半期ごとに分けて支給し、領収書を監督人が確認する方式にすると安心です。


条件と管理方法を丁寧に書き込む

遺言書には次の四点を具体的に記します。

  1. 受遺者──フルネーム・住所を正確に書く
  2. 負担内容──「動物病院の診療を含む終生飼養」と言い切る
  3. 金額と支払い方法──例:200万円を年4回50万円ずつ支給
  4. 監督体制──監督人(第三者)を置き、半年に1度報告を受ける

行政書士は表現の漏れをチェックし、公正証書遺言で残すところまで伴走します。


ペット信託との違いを見極める

  • 負担付遺贈
    • 遺言書1本で完結し、コストを抑えやすい
    • 受遺者が放棄すると成立しないリスクがある
  • ペット信託
    • 信託財産を分割管理でき、長期にわたる監視がしやすい
    • 契約書作成や信託登記が必要で、設計が複雑

受遺者との信頼関係が十分に築かれていて、お互い意思確認がとれていて、「まとまった医療費を遺すだけで十分」というケースなら負担付遺贈がシンプルに機能します。


実際にあった安心事例

ある飼い主さまは闘病中に「愛犬の将来が気がかり」と行政書士へ相談しました。

  • 公正証書遺言で、信頼するご友人を受遺者とし、負担付遺贈として「愛犬の終生飼養を条件に300 万円を取得させる」と規定。
  • 遺言執行者兼監督人を行政書士に指名し、 「年4回・各75 万円ずつ支払う」という分割スケジュールを遺言に明記。
  • 飼い主が逝去した後、遺言執行者が銀行口座から1回目の75 万円を受遺者に払い出し、以降も半年ごとに愛犬の写真+動物病院領収書を確認してから次回分を送金。

その結果、愛犬は最期まで慣れた環境で穏やかに暮らし、ご友人も経済的負担を感じずに看取りができました。飼い主さまは生前から「これで心配事がなくなった」と安堵され、安心して療養生活を送られたのが印象的でした。


いま出来る3つの第一歩

  1. 受遺者候補に気持ちを伝える
  2. 愛犬・愛猫の年間費用を試算しメモに残す
  3. 専門家へ相談して遺言のたたき台を作る

「想い」を紙に落とした瞬間から、ペットの未来はぐっと安定します。

もし「生前にも費用を渡したい」場合

  • 生前贈与+負担契約
    • 例:毎年50万円を渡し、贈与契約書で「世話を継続すること」を条件にする
  • ペット信託(委託者=飼い主、生前設定)
    • 信託財産として現金を拠出し、受益者代理人や信託監督人が使途をチェック

――といった方法のほうが適切です。ご事情に合わせ、遺贈・贈与・信託を組み合わせると安心感が高まります。


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