相続人の住民票集めをスピード化する広域交付制度|行政書士がポイント解説

相続人の住民票集めを 迅速にする広域交付制度 相続全般

相続手続きを始めると、相続人全員分の戸籍と住民票をそろえる作業がまず壁になります。
戸籍は本籍地ごとに請求しますが、住民票は広域交付制度を使うと手間を大幅に減らせます。
ここでは「相続人の書類収集」という視点に絞り、広域交付の仕組みと活用ポイントを行政書士が整理します。


1 なぜ相続で住民票が必要か

  • 金融機関の相続手続きで「相続人の現在住所」を証明
  • 不動産名義変更で登記簿に記載する現住所を確認
  • 遺産分割協議書へ住所を正確に転記

相続人が全国に散らばっていても、全員分の住民票を10か月以内に集める必要があります。


2 広域交付制度の基本

  • 法的根拠住民基本台帳法第12条第3項
  • できること:本人と同一世帯員の住民票を、全国どこの市区町村窓口でも取得
  • 対象書類:住民票の写し・住民票記載事項証明書
    (印鑑登録証明書や戸籍謄本は対象外)

3 相続書類収集にどう役立つか

3-1 相続人が複数の県に住んでいる場合

代表相続人が近隣の役所を回れば、他県に住む兄弟姉妹の住民票も即日まとめて取得できます。
郵送請求を待つより早く、返信用封筒の往復コストも不要です。

3-2 急な金融機関手続きに備える

銀行や証券会社から「今週中に住民票を提出してください」と言われても、広域交付なら出張先の役所でその日のうちに用意できます。

3-3 行政書士が代理でサポートしやすい

遺産分割協議書や不動産登記の準備で住民票が足りないとき、依頼者と同一世帯員であれば、行政書士が同行して一括取得の段取りを整えられます。


4 利用条件と必要書類

項目内容
利用者本人または同一世帯員(別世帯は窓口請求不可)
本人確認マイナンバーカード・運転免許証など顔写真付き
手続き窓口で「広域交付を希望」と伝え、申請書を記入
郵送請求代理人でも可(委任状+本人確認書類の写し)

5 相続でよくある質問

Q. 兄弟3人のうち私だけ地元に残り、他の2人は遠方です。私が3人分取れますか?
A. 3人が同一世帯なら窓口でまとめて取得できます。
世帯が分かれている場合はそれぞれが窓口に行くか、郵送請求になります。

Q. マイナンバー入り住民票が必要です。広域交付で取れますか?
A. 自治体によって交付可否が異なります。事前に窓口へ電話で確認してください。

Q. 戸籍も一緒に取りたいです。
A. 戸籍謄本は本籍地でのみ交付されます。
ご自分で取得される場合は、郵送請求やe戸籍(※一部自治体で試行中)などの方法に限られます。
行政書士の職務上請求で集める方法を検討しましょう。


6 行政書士ができるサポート

  • 相続人リストの作成と本籍・住所の洗い出し
  • 住民票・戸籍の取得スケジュールの立案
  • 郵送請求用の委任状や返信用封筒のセットアップ
  • 書類不足があった際の追加取得手配

まとめ ― 住民票は広域交付でまとめて取得し、戸籍は郵送や専門家に任せる

相続手続きをスムーズに進めるには、住民票=広域交付で即日戸籍=郵送か専門家と役割を分けると効率的です。
時間に余裕がないときや書類が多いときは、行政書士へ相談して負担を軽減しましょう。

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