導入──キャッシュレス時代に増える「見えない遺産」
交通系ICカードやPayPay、楽天Edy、WAON、LINE Payなどの電子マネーは日常生活に浸透し、姫路市でも幅広い世代が利用しています。
しかし相続の場面では、非常に多くの電子マネーなどのサービスが乱立しており、その煩雑さが「見えない遺産」として問題化するケースが増えています。
現金や預金と違い所在がつかみにくいため、相続財産に含まれるのか、申告は必要なのか戸惑いが生じます。
姫路市で活躍する行政書士が実務で得た知見をもとに整理します。
電子マネーは相続財産に当たるのか──法的な位置づけ
電子マネーは前払い方式と後払い方式に大別されます。
プリペイド型にチャージされた残高は「財産的価値を有する債権」として相続税の課税対象になると国税庁が示しています。
ポイントやクーポンは経済的価値が不確定で課税対象外になる場合もありますが、判断に迷うときは専門家へ確認することが大切です。
姫路市で実際に起きたケース
情報格差が生んだ家族間トラブル
あるご家族では故人が複数の電子マネーを利用していました。
長男だけがその事実を知り、遺産分割協議で共有しませんでした。
のちに次男が残高を知り、不公平感から紛争に発展しました。
行政書士が介入し遺産分割協議書を再作成して解決しましたが、情報共有の不足が原因でした。
電子マネーは多額の金額になることはまれですが、感情的にもつれると遺産分割協議がまとまらなかったり、後々の家族関係に亀裂が入ることもあるので過小評価すべきではないでしょう。
電子マネー相続で押さえる三つの視点
アカウント情報の管理
ログインIDやパスワード、登録電話番号は相続手続きの鍵になります。
エンディングノートやクラウド型資産管理サービスに記録し、家族と共有しておくと混乱を避けやすくなります。
遺言書への明記
電子マネーを誰に承継させるか遺言書で具体的に示すと、相続人間の協議が円滑に進みます。
例えば「相続開始時点のPayPay残高を長男に相続させる」といった記述が有効です。
適切な遺産分割協議
残高が少額でも遺産分割協議書に記載し、相続人全員の合意を得ることで誤解を防げます。
形式を整えることが後日のトラブル回避につながります。
今からできる対策
キャッシュレス利用が高齢層にも広がっている現在では、日頃から家族間で資産情報を共有する体制づくりが重要です。
資産一覧表を更新し、エンディングノートに電子マネー残高とアカウント情報を記載すると相続手続きがスムーズになります。
一番おすすめなのは、そもそも電子マネーを使用しない、もしくは使用するものを1つにしぼり、他のサービスは解約しておくということです。
行政書士に相談すれば、財産目録や遺言書の作成、スマホ内データの整理まで一括で支援を受けられます。
まとめ──「小さな残高」が大きな火種になる前に
電子マネーは便利な反面、所在を把握しづらく相続財産から漏れやすい資産です。
相続開始後に混乱を招かないためには、
- アカウント情報の可視化
- 使用するサービスの絞り込み
- 遺言書での具体的指示
- 遺産分割協議書での正式な取り扱い
を生前に整えておくことが最善の備えとなります。
姫路市の当行政書士事務所では財産目録の作成や遺言書の文案、分割協議書の整備まで一貫して支援します。姫路市で電子マネー相続に不安を感じたら、初回無料相談を利用し、家族が安心できる準備を始めてみませんか。
令和七年六月十日現在の法令・通達に基づいて解説しました。具体的な手続きや税務判断は個別事情により異なりますので、必ず専門家へご確認ください。
コメント