はじめに:節税のつもりがリスクに?見逃せない落とし穴とは
「資産管理法人を設立すれば、税金が安くなる」 そんな期待から法人化を検討・実行する方は近年増えています。特に不動産投資や資産運用を行っている個人にとって、法人化は“節税と相続対策の万能ツール”のように見えるかもしれません。
しかし、現実はそう単純ではありません。節税目的が先行しすぎると、税務署の監視対象となり、思わぬリスクを抱えることにもなりかねません。
本記事では、兵庫県姫路市の行政書士として、実務経験と法的根拠をもとに、資産管理法人を活用した節税で注意すべき”3つの落とし穴”について解説します。さらに、読者が「これは知らなかった」と感じるような最新の動向や実務のポイントも交えてお届けします。
落とし穴①:実態のない法人は“節税”ではなく“租税回避”とみなされる
節税と脱税の違いはよく語られますが、もうひとつ重要な概念が「租税回避行為」です。
租税回避行為とは、法律の形式的なルールは守っているものの、実質的には課税を逃れるためだけに行う取引や行為を指します。これはグレーゾーンではありますが、税務署はこの実態を厳しくチェックしています。
▶ 代表的なケース:ペーパー会社による節税
- 実体のない法人を立て、形式的に収益物件を移転
- 実際の管理・契約・業務は個人が引き続き行っている
- 法人が存在していても、事業としての実態が確認できない
このような場合、法人を使った節税が「無効」とされ、個人課税へ修正される可能性があります。
▶ 対策ポイント:
- 法人として事業活動の実態(契約書・経費・稟議・業務分担)を残す
- 個人と法人の口座・資産・支出をしっかり分ける
落とし穴②:家族への役員報酬は「業務実態」がなければ経費と認められない
資産管理法人の典型的な節税スキームのひとつが、家族を役員にして報酬を分散する方法です。これにより所得税を抑えることができますが、“仕事をしていない家族に報酬を支払う”のは完全にアウトです。
▶ よくあるNG例:
- 名義だけ役員にして、まったく業務をしていない配偶者や子に報酬を支給
- 在籍記録・業務日誌・会議出席の証拠なし
こうしたケースでは、報酬が経費として否認され、さらに「仮装経理」として重加算税が課されるリスクもあります。
▶ 対策ポイント:
- 家族役員にも明確な職務を与える
- 勤怠管理・稟議・業務日誌・メール記録など“証拠の積み上げ”を習慣化
- 会議録や業務マニュアルも整備することで、実態を裏付け
- 遠方に居住している子どもは社外取締役にする
落とし穴③:「過剰な経費計上」は法人としての信頼を大きく損なう
法人にすると、個人では経費にできなかった支出も経費化できる可能性が広がります。
たとえば:
- 自宅の一部を事務所として使用 → 按分で家賃を経費計上
- 仕事に使う車のガソリン代・車検費用なども経費に
- セミナー・書籍・通信費・携帯代…なども経費として処理可能
しかし、ここで注意すべきは、「本当に業務に必要な支出なのか?」という視点で税務署は見ているということです。
▶ ありがちなNG例
- 家族旅行を「役員研修旅行」として処理
- 高級外車を法人車両として登録(実際は私的利用)
- ゴルフ・飲食・ブランド品を接待費・交際費と偽装
これらは税務調査で否認されやすく、悪質と判断されるとペナルティが加算されます。
📌 国税庁「法人の経費と私的支出の区別について」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5210.htm
▶ 対策ポイント:
- レシートの保存だけでなく、使途の記録や業務との関連性のメモを残す
- 経費の“説明責任”が果たせる運用ルールを作る
- 税理士との連携で、経費処理の基準を定期確認
節税と脱税の境界線は「実態」+「記録」で分かれる
資産管理法人による節税は、正しく行えば非常に効果的な戦略です。 しかし、安易なスキームや“見かけだけ”の節税は、逆に重いペナルティや信用失墜を招くリスクをはらんでいます。
節税と脱税の違いは「記録」「裏付け」「業務実態」の有無で分かれます。
これは決して形式だけの問題ではなく、税務署も「総合判断」で精査してくる部分です。だからこそ、専門家との連携、証拠管理、運用体制の見直しが非常に重要です。
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