本記事は一般的解説であり、個別の法的助言には該当しません。具体的な案件は必ず専門家へご相談ください。
「うちには現金も株もないから、相続で揉めることはないだろう」──そう思っている方こそ、要注意です。実は、相続財産が「空き家」しかない場合でも、家族間の深刻な争いが起こることがあります。
私は行政書士として兵庫県姫路市で相続手続きや遺言書作成のご相談を日々お受けしていますが、空き家の相続をめぐるトラブルは年々増加傾向にあります。この記事では、なぜ空き家が「負動産」と化すのか、そして家族が争わずに済むためには何が必要かを解説します。
なぜ空き家は“負動産”と呼ばれるのか?
1. 売れない・貸せない現実
築古・立地不利物件は買い手も借り手も付きにくく、維持コストだけが残ります。
空き家対策特設サイトでも、市街地から離れた住宅の流通難が指摘されています。
国土交通省|空き家の問題とは?国土交通省
2. 固定資産税の増額リスク
「特定空家等」や「管理不全空家」に勧告が出ると、住宅用地特例(税額1/6)が解除――固定資産税が最大6倍になる可能性があります。
(詳細は固定資産税特例解除資料/国交省PDF)国土交通省
3. 管理責任と法的ペナルティ
改正空家法では、勧告→命令→代執行のステップが強化され、命令違反で20万円以下の過料も。
空家法解説ページ国土交通省
相続財産ゼロでも争いになる理由
利用価値をめぐる三つ巴
- 住みたい:感情優先で他の相続人との金銭調整が難航
- 売りたい:買い手がいない場合は代償金を払えず膠着
- 放置したい:管理放棄は他の相続人へ負担転嫁
解体・維持費を誰が負担?
木造戸建ての解体費は100万〜300万円(地域・延床面積で変動)。費用分担が合意できず放置される例が多発します。また最近ではアスベスト(石綿)の取り扱いが厳格になっており、有資格者による事前調査の義務化(2023年10月1日施行)及び解体、廃棄に関してもコストが跳ね上がっています。築古の家ではアスベストが使用されているケースも多く、十分に費用を見積もっておくことが大切です。
空き家相続で揉めない3つの対策
① 家族会議を“生前”にセット
方向性(居住・売却・解体)と費用負担シミュレーションを共有しておきましょう。議事録を残すと更に安心です。
② 遺言書で処分方法を明示
- 公正証書遺言なら原本保管で安全
- 付言事項に「解体費用は預貯金から充当」等も書くと争点を消しておくこともできます
③ 専門家サポートを活用
- 行政書士:戸籍調査・遺言作成・相続関係説明図
- 司法書士:登記申請代理
- 税理士:空き家売却の税務試算
ワンストップで連携すればコストと時間を圧縮できます。
相続登記義務化で“過料10万円”
2024年4月施行の改正不動産登記法により、不動産取得を知った日から3年以内の相続登記が義務。違反は10万円以下の過料対象です。
(詳細は法務省|相続登記の申請義務化について)法務省
行政書士が提供できる3つのサポート
サポート内容 | 概要 |
---|---|
遺言書作成支援 | ヒアリング→文案→公証人手配(訴訟代理は弁護士連携) |
空き家コスト試算 | 固定資産税・解体費・管理費の試算表をExcel納品 |
相続登記前書類整備 | 相続人調査・戸籍収集・財産目録作成(登記代理は司法書士紹介) |
今すぐできる第一歩
三好行政書士事務所では空き家対策も行っております。
所有している資産管理法人で何件もの空き家再生の実績もありますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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